MARKAWARE、markaをデザインするエグジステンス・石川俊介氏が語る「PARKING」の誕生と未来─ファッションの新たな循環を目指して

2025.02.26

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  「PARKING」は未来への布石 -ファッションの新たな循環を作るために-  
  ファッション業界において、環境意識とものづくりの本質を追求し続ける石川氏が、ユナイテッドアローズ子会社の「コーエン(coen)」との新たなプロジェクト「PARKING」について語る。 このプロジェクトは単なる新作発表ではなく、サステナブルな視点を持った「ファッションマイニング」という新しい試みでもある。 ものづくりの背景や今後の展望、そしてブランドの哲学など、こだわりが詰まったインタビューをお届けする。  
     
 
     
  「都市鉱山」に着想を得た新たな試み、ファッションマイニング
 
 
  まずは石川さんのご紹介をいただきつつ、今回のプロジェクトのスタートの経緯、そして「ファッションマイニング」とは何なのか、お聞かせください。

石川:僕は2001年からファッションブランドを手がけていて、2002〜2003年に「marka」、2007年に「MARKAWARE」を立ち上げました。 最初はコレクションを発表するブランドとしてやっていましたが、2010年代前半からものづくりの「裏側」により深く関わるようになり、2014年からはトレーサビリティを明示したものづくりを始めました。 僕達はこれまで、ユーザーの方に着てもらうまでのところに取り組んできましたが、そこからどうやって着た後にできる取り組みをできるかを考えています。 特に手放す時にどうするのがベストか?というのは、僕達の企業規模では実現が難しいという思い、日本全国で多店舗展開をしているcoenと取り組むことにしました。
 
 
 
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  「ファッションマイニング」は、その延長線上にあるプロジェクトです。コンセプトの着想は「都市鉱山」から来ています。 例えば、スマホにはレアメタルが含まれていて、それを回収して再利用する取り組みがありますよね? これをファッションに応用しようと考えました。 実際に、洋服は大量に廃棄され、その約65%が焼却処分されています。 でも、元々は資源から作られたものですから、適切に回収すれば再利用が可能なはずです。  
 
     
     
     
 
     
  ファッションマイニングから誕生した「PARKING」
 
 
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  今回発表された「PARKING」というコレクション名についてですが、どういった意図で名付けられたのでしょうか?

石川:実は、僕たちの直営店の名前が「PARKING」なんです。 元々、駐車場を改装して作ったお店なのでこの名前をつけました。でも、「PARK」には「遊ぶ・憩う」といった意味もあるし、動詞の「-ING」がつくことで「今、進行中のプロジェクト」だという意味を込められる。 今回、公園(PARK)をテーマにしたこともあり、回収・循環を意識するこのプロジェクトにはぴったりの名前だと感じました。ファッションを止めるのではなく、新たな形で動かし続ける。そんな想いを込めています。
 
 
     
     
     
 
     
  デザインのこだわり
 
 
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  石川:「ファッションマイニング」を象徴するアイテムとして、5型のワークウェア・ミリタリーウェアテイストのアイテムを作りました。

■オーバーパンツ
アメリカ軍のスノーオーバーパンツをモチーフに。ワイドなシルエットを活かし、ストンと落ちるデザイン。

【PARKING】CARGO WIDE PT / ¥7,689intax
https://www.coen.co.jp/brand/coen/item/7500025S0014

■カバーオール
1940年代のカバーオールのディテールを取り入れつつ、モダンなアレンジを加えました。スクエアポケットが特徴。

【PARKING】COVERALL JKT / ¥9,889intax
https://www.coen.co.jp/brand/coen/item/7500025S0016

■チノトラウザーズ
1960年代のミリタリーパンツをベースに、巻き縫いではなくスラックスのような仕立てで上品な雰囲気に。

【PARKING】CHINO WIDE PT / ¥6,589intax
https://www.coen.co.jp/brand/coen/item/7500025S0013

■シャツ
オックスフォード素材を使い、ワークウェアらしいディテールを活かしつつ、都会的な要素をミックス。ゆったりとしたシルエットが特徴。
【PARKING】OXFORD SHIRT / ¥6,589intax
https://www.coen.co.jp/brand/coen/item/7500025S0008


石川:デザイン的には、古着の持つ雰囲気やワークウェアの実用性を活かしながら、今の時代に合うフィット感を意識しています。
 
 
     
     
     
 
     
  おすすめコーディネート
 
 
  石川:個人的には、オーバーパンツにオックスフォードシャツを合わせたミリタリー×クラシックな着こなしがいいですね。定番の組み合わせですが、シルエットの面白さが際立つと思います。  
 
 
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  靴は何がおすすめですか?

石川:やっぱり革靴がいいですね(笑)。特にオックスフォードシューズは相性が抜群です。PARKINGのアイテムはワークウェア的な要素が強いので、足元に少し品を加えることでバランスが取れます。もちろん、ブーツでもかっこよく決まりますよ。
 
     
     
     
 
     
  お客様へのメッセージ
 
 
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  最後に、「PARKING」のアイテムを手に取るユーザーへメッセージをお願いします。

石川:僕たちは、素材からこだわり、長く愛用できる丈夫なものを作っています。ただ、それだけではなく「着倒した後」のことまで考えてほしいです。回収プログラムに協力していただけると嬉しいですね。
廃棄される生地を減らし、「生産者→消費者→新たな生産者」という循環の流れを作ることを目標としています。着終わった後のことまで意識してもらえたら最高ですね。

スマホが手放せない現代と同じように、ファッションも「使い捨てる」のではなく、「循環させる」ことで価値が生まれるんですね。素晴らしいお話をありがとうございました!
 
 
     
 
 
 
 
 
  PARKINGは、ただのコレクションではなく、ファッションの未来を考えたプロジェクトだ。 石川氏の熱い想いが込められたアイテムを、ぜひ手に取ってみてほしい。そして、その先にある「新しいファッションの形」を一緒に考えていこう。